昔の粉体塗装は「比較的高温の焼付が必要」「塗膜の質が悪い」「製造ロットが大きい(1色300kg以上)」「納期がかかる(1ケ月~3ケ月)」「耐候性に優れたものがない」「設備投資が大きい」など、様々なリスクの方が目立ってしまい、あまり使い勝手の良い塗装方法として認識されておりませんでした。
しかし現在ではフッ素樹脂系粉体塗料が開発され、海外でも広く利用されるとともに、環境保全としての意図だけでなく塗料自体の性能もあがり、年々注目され始めています。
VOC削減によるエコ対策
業界課題でもあるVOCおよびCO2の削減にむけ、有機溶剤を一切含まないので大気を汚染せずエコロジー効果があります。
安全に取り扱える塗料粉末
消防法上、非危険物であるため、火災や吸気中毒等の危険がありません。
ランニングコストを抑え経済的に対応
回収粉末が再利用できるためランニングコスト削減。 (回収装置を付けた場合です)
省人化に対応できる
溶剤塗料とは異なり、粘度調整などが不要なので管理人数を抑えることが可能です。
吹付回数をおさえた工数削減
1回の塗装で厚く均一な塗膜が可能。平均粒子径は膜厚50〜80μmにもなります。
高耐久に優れた強い塗膜
塗膜が強く、耐久性に優れているだけでなく耐火・耐油・防錆など高耐性塗料として活用されています。
塗装業界を取り巻く環境・求められる変革
塗装業界における環境対策は、いわば切っても切れない重要なポイントとされてきました。現在も塗装業界では塗装時に発生する「VOC」を元とした様々な問題・リスクへの対策を求められています。
現在、環境省においてVOCの排出規制を目的とした「VOCの排出規制制度(関係法令等)」が定められており、とりわけ塗装業界は溶剤として使用する塗料がVOCを含有しているため、VOCの排出が多いとされています。
現在は各協会・団体でも年毎のVOCの削減目標値を設定して取り組みを開始しており、水性塗料やハイソリッド塗料とともに、粉体塗料を環境配慮型の筆頭としてユーザーへの切り替えを促進しています。
粉体塗装がもたらす環境型未来
現状考えられるVOCの削減につながるもっとも有効な手段は溶剤塗装から粉体塗装への移行であり、実際に欧米ではその動きが推奨され、粉体塗装の使用数が増加しています。
また、VOCにはシックハウス症候群をはじめとする中毒症状の原因にもなることから、VOCの削減は健康リスクの抑制につながることも分かっています。
さらに、粉体塗装は溶剤塗装に比べ、作業工程におけるCO2排出量も少ないため、粉体塗装への移行はCO2の削減にもリンクしていきます。
粉体塗装は次世代を担うエコ塗装として世界中から注目を集めており、環境問題について強い関心を持つ企業は積極的な対応を進めています。
粉体塗装には環境性能だけでなく、現在主流で使われている溶剤塗装を上回る強度・柔軟性・防錆能力があることから塗料・塗装方法自体も極めて優れた性質を持つことが分かっています。
優秀なコーティング能力を持つ粉体塗装について改めて検討されてみてはいかがでしょうか?
主な活用は焼き付け処理に耐えれる金属部品
粉体塗料は家電製品・自動車部品・車両・事務用品・鋼製家具・建材・水道管などの工業用製品分野において屋内外の用途として広く使用されており、主な粉体塗料としては、いずれも熱硬化型のアクリル樹脂系粉
体塗料/ポリエステル樹脂系粉体塗料/エポキシ樹脂系粉体塗料が使用されているかと思います。
環境配慮への意識は社会的にも高い関心を集めており、粉体塗料を用いたエコ意識としての活用は市場として確実に成長を続けていくかと思います。以前は数百キロ単位でしか調色できなかった粉体塗料も、最近ではメーカーによっては1kg単位で調色することも可能です。
様々な業界において着実に「粉体塗装」の利用率は高まってきております。
金属家具 | 机|椅子|陳列棚|書架|ロッカー|業務用ワゴン|ベッド...など |
---|---|
電気機器 | 電盤|配電盤|ラジエーター|柱上トランス|電力計|発電機|モーター|ガス給湯器...など |
建設・産業機械 | パワーショベル|フォークリフト|FA機器|工作機械|包装機|ボンベ| 農業機械...など |
機械・器具 | 医療用品|現像機|精密機器|IT機器|事務機 |
家電製品 | レンジ|レンジフード|エアコン|冷蔵庫|洗濯機|暖房機|ミシン|照明器具|電話機...など |
道路資材 | ガードレール|ガードパイプ|橋梁手摺り|欄干|標識用ポール|信号機|照明柱...など |
水道資材 | 鋼管|鋳鉄管|異形管|ニップル|仕切弁|継ぎ手|水栓金具|メーター...など |
建築資材 | フェンス|門扉|手摺り|面格子|住宅鉄骨|シャッター|カーテン|ウォール|パーテーション|雨樋金具|鉄筋バー...など |
自動車部品 | ボディー|ワイパー|バンパー|スプリング|ホイール|ブレーキドラム|オイルフィルター|エンジンブロック|ルーフレール...など |
その他 | 農業資材|家庭用品|消火器|ガーデニング用品...など |
掲載企業の選定条件
このサイトでは、日本で唯一の粉体塗装の協会である「日本パウダーコーティング協同組合」に加盟している企業、または品質保証として「ISO」の第三者認定を取得している企業を中心に塗装業者をまとめています。是非参考としてみてください。
図面、塗装色、数量、梱包方法、タップ穴やスタッドボルトなど厳密な見積を算出できる仕様を共有していますか?アバウトな情報が紛れていると見積額も変動してしまいます。業者側と「何が必要か」をしっかりと確認してみましょう。
腕のいい職人が性能の高い塗料で施工をしても、塗布量を守らなければ塗料の性能を十分に発揮することはできません。要望する品質を担保し、求める納期をしっかりと守れるが重要です。業者側から工期連絡が来た際には段階を踏んで適宜確認することが大切です。
発注する側として、臨機応変に対応できる業者は重宝しますよね。小ロットから対応でき取り扱う塗料の種類もあり、品質も良く不良品の発生率も低いにこしたことはありません。依頼しようとしている業者の実績や品質基準についてしっかりと把握しましょう。
協会や団体、ISOなどの第三者機関に属していれば「品質の認可」を持っている証になります。実は溶剤塗装に強くても粉体塗装の品質はイマイチ…という事態も回避できます。外部からの規定をクリアできている一定の品質が保証されている業者を選びましょう。
「コロナ帯電式塗装法」とは高い耐久力と防錆性がある静電気塗装技術のことです。塗膜欠陥が発生しやすく、凹部の内側に粒子が入りにくいというデメリットがありますが、使用塗料の材質を選ばないため幅広い製品に適応されています。
「摩擦帯電式(トリボ)塗装法」とは、凹部内側や複雑形状が得意な静電気塗装技術のことです。湿度・天候によって付着しにくいこともあり、使用塗料の材質が限定されますが、ピンホールや肌荒れが起こりにくいため表面がなめらかで欠陥が発生しづらい塗膜形成が可能です。
粉体塗装は粉体塗装の塗料には顔料や樹脂を溶かすための有機溶剤が一切使用されていないため人体と環境にやさしく、耐久性と防錆性、柔軟性が高いため、厳しい環境にも強いメリットがあります。一方、少量生産や短期納期、薄い塗膜が苦手というデメリットも持ち合わせています。
粉体塗装は含有樹脂の熱に対する反応性から、熱硬化性粉体塗料と熱可塑性粉体塗料の2種類に分けることができます。金属素材の製品を中心に様々な分野で使用されており、金属家具や電気機器、建設、産業機械、機器・器具の割合が大きくなっています。
2021年と2022年の粉体塗装の生産・販売量などのデータ動向を見ると、粉体塗料は現在上昇傾向にあるようです。25社の内TOP3は大日本塗料株式会社(1位)株式会社ケミコート(2位)ナカオ金属(3位)と歴史の長い塗料メーカーでした。
粉体塗装は人体や環境にやさしく、塗着しなかったため回収した塗料を再利用できるなど、非常に便利な塗料です。しかし、塗装保管や塗装機器管理を間違えると表面にぶつぶつができたり、色ムラができるなど不良につながってしまいます。 代表的な不良例として、スピット、静電反発(逆電離現象)。ブロッキング、ゆず肌、ピンホールなどがあります。
粉体塗装は前処理や清掃の徹底などが大変なため、複数色や小ロット対応が難しいといわれています。しかし、最近では常備在庫色の色数増加や色替え粉体塗装対応設備の登場などにより、多色・小ロットに対応した粉体塗装会社が出てきています。
粉体塗装とは、顔料などを粉砕して直接金属に噴き付け、コーティングする塗装方法です。人体にも環境にも優しく火災リスクを低減でき、コストパフォーマンスにも優れているため、建設業界などで採用する所が増えつつあります。 粉体塗装の膜厚は一回の吹付けで40〜150㎛程度であり、耐久性や防錆性が優れているので、ガードレールなど厳しい環境に耐えられるものに活用されています。
2020年の新型コロナウイルスは世界規模で粉体塗装の市場に強い影響を及ぼしましたが、2021年から回復傾向にあります。特にアジア太平洋の需要は大幅に増加すると予測されています。日本市場でもSDGsへの対応としてVOCを排出しない粉体塗装を採用する企業も増えてきています。多様化するニーズにどう対応し、需要を作り出すかが、今後粉体塗装市場拡大のカギとなるでしょう。
粉体塗装の見積もりは自動塗装が難しい「形状」や、塗料代金が高い「塗装種類」、製品の汚れを落とす作業や研磨作業などの「下処理」も含めるかどうかで見積金額は異なります。 粉体塗装の劣化のスピード、耐用年数、価格帯も、使用する溶剤、グレードや製品形状、膜厚、メーカーによって変動するため、あくまで目安として考えた上で、事前に把握しておきましょう。